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■来年度、受験する方へ(4)

■来年度、受験する方へ(4)

前回(3)で少し触れたが、「机に向かっているのに頭に入っていかない」「勉強してもすぐに抜け落ちていく気がして不安です」、そんなことを訴える生徒に指導してきたことをここで紹介する。

教科書や問題集に書いてある説明を読んでもそれが脳に浸透・沈着しない理由。ひとつは集中していないから、もうひとつは「その説明を、本当の意味で理解出来ていないから」。

勉強していて一番恐いのは、本当は理解していないのに「理解しているつもり」に陥ってしまうことだ。どんな受験生も程度の差はあれ必ずここでつまずいている。必ずだ。読者の諸君も「理解したつもり」を最も憎んで欲しい。恐れて欲しい。

話を戻すが、「勉強しているんですが…いまいちなんです」という受験生の多くは参考書や問題集の解説をちゃんと読めていない。懸命に字面を目で追っていても、その解説(を記した著者)が諸君に本当に伝えたいことを読み取れていない。それは何故か。

頭が悪いからではない。本来「共有されるべき言葉」が共有されていないからだ。

例えば「ショック」という言葉がある。一般的には「驚き傷付いた感情」などを意味するだろうが、医療従事者にとっては「血圧が低下して死に瀕した極めて危険な状態」を意味する。医者が「あなたのお母さんはショック状態です」と述べる状況を思い浮かべれば、「言葉が共有されていない」という状況がいかに困ったものであるか分かるだろう。

もちろん、医師が一般人に向かって「ショック」という専門用語を使うのは適切ではないし、それで困惑したとしても患者サイドは何ら恥ずかしく思う必要もない。何故なら医療従事者と非医療従事者は「言葉を共有」する必要がないからだ。

しかし、受験参考書は違う。

参考書の著者は読者が自分たちと同じような言葉のユーザーであると信じているし、或いは読者が同じ言葉を共有したいと歩み寄ることを当然と考えている。従って、例えば僕が教壇に立っていて、「自分の使った専門用語(ごく平易なものですら!)を生徒が理解していない」と知ったときほど脱力するものはない。

予備校の授業でも問題集でも、講師・著者がどんなに分かりやすく「説明」したところで専門用語の使用を避けることは出来ない。専門用語を駆使しなければ正確に伝わらないのが学問であるし、その為にこそ専門用語が発明され、定義付けられてきたからだ。

「温度」という言葉は小学生でも知っている。しかし、世の中の高校生で、高校理科の範囲での正確な定義を述べられる者がどれだけいるだろうか。そして、やはり誰でも知っているはずの「熱」という言葉との違いをどれだけきちんと認識しているだろうか。

「温度」や「熱」といった、余りにも平易で余りにも見慣れた「専門用語」こそ盲点になる。ここを確認していなければ、化学の反応速度理論も質量作用の法則も、いつまで経っても表面的な理解(とはとても言えないだろうが…)にとどまるだろう。

各教科の専門用語の定義をまず確実に自分のものにしよう。その為にはこまめに辞典を引き、口頭あるいは記述を通じて先輩の目に触れて貰い、自分の理解の正しさを確認するしかない。

高校化学を学ぶとき、その用語の定義を最も上手に教えてくれるのは高校教科書だ。「教科書を読め」と小橋が口を酸っぱくして訴えてきたのはこういう理由がある。高校教科書以外でとなると、小橋は三省堂の『化学小事典』を勧めてきた。間違っても予備校出版物や参考書に求めてはならない。出版までに費やされた頭脳の質と労力の桁が違うからだ。

東大化学の問題を作る人、採点基準を考える人、採点する人。それらは全て化学の専門家であり、専門用語を日常的に使いこなしている人たちだ。彼らに挑むには、まず最低限同じ土俵に立つための、「言葉を共有する」努力から始めたい。

(5)では具体的な勉強法(言葉の定義の習得について)を紹介したい。
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テーマ : 大学受験
ジャンル : 学校・教育

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小橋哲之

Author:小橋哲之
小橋塾塾長

研修医一年生

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